臨床的意義
梅毒血清反応には, カルジオリピン, レシチンのリン脂質を抗原とする脂質抗原試験と, TP菌体また菌体成分を抗原とする
treponema pallidum(TP)抗原試験とがある. 脂質抗原試験は, 通常STS(serological tests for syphilis)と呼ばれ, ガラス板法, カーボン法(RPRカードテスト等), 梅毒凝集法などがある. TP抗原法は梅毒病原体であるTPに対する抗体で, TPHAテストとFTA-ABSテストがこれに該当する. なお, TP抗原反応は梅毒に対する特異性が極めて高いので, 梅毒の診断には有用であるが, 治療の適応あるいは治療効果の判定などには不適当である. その理由は, その抗体価が一度ある程度以上に上昇してしまうと, 有効治療が加えられても容易に抗体価の低下がみられず, また半永久的に陽性を持続するからである. データ解釈:一般的には, 脂質抗原を用いるSTS(ガラス板法, RPRカードテスト)を実施する. その結果, 1法ないし2法とも陽性の場合はTPHAテストで確認する. TPHAが陰性の場合は, FTA-ABSで最終確認をしなければならない. 多くの検査室では, STSとTPHAを同時に実施している. 初感染の証明はTPに感染後約1週間くらいでまずTPに対するIgM抗体が産生され, 続いてSTSに対するIgM抗体, IgG抗体, 最後にTPに対するIgG抗体が産生される. また一般的にルーチン検査の場合, その陽転順序はまずFTA-ABS IgM抗体が陽転し, 次にFTA-ABSとSTSがほぼ同時に陽転し, TPHAが最も遅く陽転する傾向がみられる. また, STS陽性・TPHA陰性の場合は, 感染初期のこともあり, 感染の疑いが強い症例には3~4週間後に再度検査を行い, 感染初期の梅毒かBFPかの判定を下す必要がある.
異常値を示す病態・疾患
上昇する疾患
梅毒
関連検査項目
梅毒脂質抗体定性
梅毒脂質抗体定量
RPR法(梅毒)[髄液]
梅毒TP抗体定性
梅毒TP抗体定量
抗TP抗体(梅毒)[髄液]
TPHA法
FTA-ABS法
参考文献 (緑ブラウザからPubMedにはアクセスできません)
エスアールエル 検査要項
出口松夫ほか. 梅毒Treponema pallidum抗体測定におけるゼラチン粒子凝集法の評価. 感染症学雑誌. 1994, vol. 68, no. 10, p.1271-1277.
津上久弥. 梅毒血清反応検査と治癒判定の問題. 皮膚. 1982, vol. 24, no. 1, p.11-18.