患者の検査前準備
検体採取のタイミング
ラベル見本(検体)(単項目オーダー時)
ラベル見本(微生物)(単項目オーダー時)
採取容器・検査材料
採取容器について
検体採取について
腫瘍量が不足している場合には検査できません.
正常部分や壊死部分を避けて提出.
生組織:25mg (小豆大)以上, FFPE:10μm厚切片5枚以上
採取後検体の取扱い
検体搬送について
採取検体の保存条件
受入不可基準
検査に要する時間(生理検査)
再検査・追加検査の対応可能日数
検体採取に関する注意事項・検査の実施に関する注意事項
長期間ホルマリン固定した組織や, ホルマリン固定前に室温放置が長い検体は, DNA断片化が著しく, 解析不能となる場合があります.
臨床的意義
生体には細胞分裂時のDNA複製の過程で生じた複製エラー (replicaion error) を修復するDNAミスマッチ修復 (DNA mismatch repair:MMR) 機能が存在する. MMR機能に異常があると, マイクロサテライト (DNAにおける短い塩基の繰り返し配列) の長さが変化する. この現象はマイクロサテライト不安定性 (microsatellite instability:MSI) と呼ばれており, MSIはMMR異常を意味するものといえる.
MMR遺伝子の生殖細胞系列遺伝子変異が原因となるものとして家族性非ポリポーシス大腸癌 (hereditary non-polyposis colorectal cancer: HNPCC) が知られているが, それ以外にもMMR遺伝子の体細胞遺伝子変異を伴う癌がある. これらの高頻度MSI (MSI-High) またはMMR機能の欠損 (MMR deficiency:dMMR) を有する癌では, 近年開発が進んでいるPD-1やPD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤 (immune checkpoint inhibitor:ICI) が高い奏効率を示すことから, 当該薬剤の適応判定のためのバイオマーカーとしての応用が期待されている.
切除不能進行・転移性のdMMRまたはMSI-Highを有する大腸癌以外の固形癌, および大腸癌に対してペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ®) を投与する国際共同第Ⅱ相試験が行われ有効性が示されたことから, 我が国でも2018年12月に「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-High) を有する固形癌 (標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応としてペムブロリズマブが承認された.
また, 2020年4月より「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-High) を有する結腸・直腸癌」に対するニボルマブ (商品名:オプジーボ®) の適応を判定するためのコンパニオン診断薬としても本検査試薬が承認された.
異常値を示す病態・疾患
関連検査項目
PD-L1蛋白(clone 22C3)(clone 28-8)免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製
参考文献
佐藤靖祥. 【免疫チェックポイント阻害薬-押さえるべき特徴と注意点】免疫チェックポイント阻害薬とバイオマーカー. 臨床検査. 2020, vol. 64, no. 1, p.20-25.

LSIメディエンス 検査要項