Department of Diagnostic Pathology, Kyoto University Hospital

[tc13_8c986 / 8C986]
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8.その他の検体検査 >> 8C.遺伝子関連検査>>8C986 マイクロサテライト不安定性検査(MSI) (免疫チェックポイント阻害剤)

マイクロサテライト不安定性検査(MSI)

(免疫チェックポイント阻害剤)

microsatellite instability

連絡先:3491・3488(診断)

関連画像

適応範囲
適応範囲

検査項目概要

項目名
項目コード
実施料
診療報酬区分
判断料区分
検査材料
必要量
保存方法
安定性
【検査方法】
基準値(単位)
所要日数
tc13_8c986
マイクロサテライト不安定性検査(MSI)
(免疫チェックポイント阻害剤)
8C986-0000-075-955
外注LSIM

2,500 点
D004-2(1イ(1))
判:遺伝子
100点
採取材料
病理組織 
測定材料 
保存方法安定性
 

【マルチプレックスPCR-フラグメント解析法】

[基準値設定材料:]

マイクロサテライト不安定性検査(MSI):陰性(-)

((定性・判定))

5~7日

適応範囲

適応範囲


患者同意について


検査結果に影響を与える臨床情報
検査結果に影響を与えるような患者の臨床的な状態(服用中の薬剤や何らかの医療的処置など)があれば示します.


オーダー画面


オーダー ⇒ 検査オーダー ⇒ 病理検査 ⇒ H組織診 ⇒ 遺伝子
オーダー ⇒ 検査オーダー ⇒ 病理検査 ⇒ H持参標本組織診 ⇒ 遺伝子

オーダーボタン名(検体)


検査予約


生理検査予約枠

予約枠

至急オーダー


検査オーダーに関する注意事項


検査オーダーに関連する文書


従来法との違い

5種類の1塩基繰り返しマーカー(プロメガパネル)を1本のチューブでPCR増幅し, 腫瘍組織のマイクロサテライト不安定性を検出するマルチプレックスPCR-フラグメント解析法です. 従来のマイクロサテライト不安定性検査では, 腫瘍組織の泳動波形を正常組織の泳動波形と比較して判定する事が必須でしたが, 本法では腫瘍組織のみでの判定が可能となります.

患者の検査前準備


検体採取のタイミング


ラベル見本(検体)(単項目オーダー時)


ラベル見本(微生物)(単項目オーダー時)


採取容器・検査材料

採取材料情報測定材料情報
記号 写真 添加物(キャップ色等) 採取材料 採取量 測定材料 必要量
病理
サムネイル   組織    

採取容器について


検体採取について

腫瘍量が不足している場合には検査できません.
正常部分や壊死部分を避けて提出.
生組織:25mg (小豆大)以上, FFPE:10μm厚切片5枚以上

採取後検体の取扱い


検体搬送について


採取検体の保存条件

検体状態 保存条件1 保存条件2 保存条件3
温度 安定性 温度 安定性 温度 安定性
       
色付きの温度は第一選択の保存条件です.

受入不可基準
検体が検査結果に影響を与えるような状態で提出された場合は受入不可基準に合致することとなりますが, 再採血の可否や臨床的な状態によっては, 検体を受け入れて参考値報告とする場合もあります.

溶血 検体凝固 強乳び 採取量
過不足
採取容器
違い
尿材料
違い
冷蔵保存
なし
遮光保存
なし
開栓 黄疸
                   

検査に要する時間(生理検査)


再検査・追加検査の対応可能日数


検体採取に関する注意事項・検査の実施に関する注意事項

長期間ホルマリン固定した組織や, ホルマリン固定前に室温放置が長い検体は, DNA断片化が著しく, 解析不能となる場合があります.

検査機器

 

検査所要日数
検体採取(検体検査)もしくは検査の実施(生理検査)から検査結果報告までに要する日数です(土日祝日を除いた日数).

5~7日

まいこネット開示までに要する所要日数の目安(Learn more)

開示なし

検査部門・委託先

中央診療棟2階 病理部→外部委託(LSIメディエンス)

検査結果報告について


生物学的基準範囲 または 臨床判断値(Learn More)
生物学的基準範囲・臨床判断値 および 検査方法の変更履歴です. 両者が変更となる場合も, 基準範囲のみ もしくは 検査方法のみが変更となる場合もあります.
臨床判断値には本来, 診断閾値・治療閾値・予防医学閾値が含まれますが, そのうち治療閾値については, 緊急異常値として別項に記載します.

期間 / 年齢
基準値設定材料
検査方法マルチプレックスPCR-フラグメント解析法
  男性女性単位
00マイクロサテライト不安定性検査(MSI)陰性(-)陰性(-)(定性・判定)
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位
基準値設定材料
検査方法
  男性女性単位

基準値情報



緊急異常値(Learn More)
検体検査の場合は, 電子カルテシステムの結果参照画面にて強調表示となる検査結果の基準です(赤は高値・青は低値).

            

表. KINGの結果参照画面で赤背景・青背景で表示される緊急異常値
高値 低値
   

電話連絡対応(Learn More)
緊急異常値など診療科に電話で検査結果をお伝えする基準です. 臨床的な状態や前回値との比較などによって, 適宜電話連絡を省略することもあります.

 
 
 
 
 
 
 
 

臨床的意義

  生体には細胞分裂時のDNA複製の過程で生じた複製エラー (replicaion error) を修復するDNAミスマッチ修復 (DNA mismatch repair:MMR) 機能が存在する. MMR機能に異常があると, マイクロサテライト (DNAにおける短い塩基の繰り返し配列) の長さが変化する. この現象はマイクロサテライト不安定性 (microsatellite instability:MSI) と呼ばれており, MSIはMMR異常を意味するものといえる.

  MMR遺伝子の生殖細胞系列遺伝子変異が原因となるものとして家族性非ポリポーシス大腸癌 (hereditary non-polyposis colorectal cancer: HNPCC) が知られているが, それ以外にもMMR遺伝子の体細胞遺伝子変異を伴う癌がある. これらの高頻度MSI (MSI-High) またはMMR機能の欠損 (MMR deficiency:dMMR) を有する癌では, 近年開発が進んでいるPD-1やPD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤 (immune checkpoint inhibitor:ICI) が高い奏効率を示すことから, 当該薬剤の適応判定のためのバイオマーカーとしての応用が期待されている.

  切除不能進行・転移性のdMMRまたはMSI-Highを有する大腸癌以外の固形癌, および大腸癌に対してペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ®) を投与する国際共同第Ⅱ相試験が行われ有効性が示されたことから, 我が国でも2018年12月に「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-High) を有する固形癌 (標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応としてペムブロリズマブが承認された.

  また, 2020年4月より「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-High) を有する結腸・直腸癌」に対するニボルマブ (商品名:オプジーボ®) の適応を判定するためのコンパニオン診断薬としても本検査試薬が承認された.

異常値を示す病態・疾患


関連検査項目

PD-L1蛋白(clone 22C3)(clone 28-8)免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

参考文献

  • 佐藤靖祥. 【免疫チェックポイント阻害薬-押さえるべき特徴と注意点】免疫チェックポイント阻害薬とバイオマーカー. 臨床検査. 2020, vol. 64, no. 1, p.20-25.
  • LSIメディエンス 検査要項

  • 診療報酬

    区分名称点数
    D004-2悪性腫瘍組織検査
    D004-21悪性腫瘍遺伝子検査
    D004-21イ処理が容易なもの
    D004-21イ(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの2,500 点
    D0262遺伝子関連・染色体関連検査判断料100点
     
    医薬品の適応判定の補助等に用いるものとは、使用目的又は効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品又は医療機器を用いて、リアルタイムPCR法、PCR-rSSO法、マルチプレックスPCRフラグメント解析法又は次世代シーケンシングにより行う場合に算定できる。

    標準コード(JLAC10)(Learn more)
    日本臨床検査医学会から提示されている標準コード・標準名称です.

    1 分析物8C986マイクロサテライト不安定性検査(MSI)
    識別0000
    材料075固定組織*
    測定法955Fragment法
    結果識別0100

    標準コード(JLAC11)(Learn more)
    日本臨床検査医学会から提示されている標準コード・標準名称です.

    1 測定物
    識別
    材料
    測定法
    結果単位

    連携情報

     

    検査部内限定ファイル

    &L

    変更履歴


    Ver. 文書更新日
    変更適用日
    内容
    1 2019/02/04
    (2018/12/17~)
    新規作成, 検査受託開始 (外注契約は2019/2/4~)
    2 2020/03/18
    (2020/03/18~)
    臨床的意義を修正
    3 2020/04/02
    (2020/04/01~)
    令和2年度診療報酬改定
    4 2020/04/21
    (2020/04/01~)
    項目名称変更, 適用拡大, 臨床的意義・関連検査項目・参考文献変更
    • 検査項目名称: [マイクロサテライト不安定性検査(免疫チェックポイント阻害剤)] ← [マイクロサテライト不安定性検査(免疫チェックポイント阻害剤)]

    5 2021/09/29
    (2021/09/29~)
    JLAC10測定法コードを変更
    • JLAC10測定法コード: [899] ← [856]

    6 2022/06/17
    (2021/12/20~)
    所要日数変更
    • 所要日数: [5~7日] ← [1~2週間]

    7 2022/08/01
    (2022/04/01~)
    令和4年度診療報酬改定
    8 2022/12/01
    (2022/12/01~)
    受入不可基準などについて全面改訂
    9 2023/08/16
    (2023/08/16~)
    オーダー画面などについて全面改訂
    10 2024/06/04
    (2024/06/01~)
    令和6年度診療報酬改定