臨床的意義
HTLV-1 (ヒトTリンパ球好性ウイルス)-1は成人T細胞白血病 (adult T-cell leukemia ; ATL), HAM(HTLV-1 associated myelopathy)の原因ウイルスである. ヒトT細胞に感染後, プロウイルスDNAの形で組み込まれHTLV-1キャリアとなり, リンパ球中のプロウイルスDNAにより伝播する. 母児感染 (母乳), 夫婦間(精液)感染が主体であるが, 輸血などによる水平感染もある. 疫学的には地域特異性があり, 日本南西部・カリブ海沿岸やアフリカにキャリアが高頻度にみられ, これらに一致してATLが発症しているが, 発症率は低く多くは不顕性感染である. HTLV-1抗体陽性者は, HTLV-1キャリアであり, 感染源であることから, ほかのレトロウイルス感染症と同様に抗体検査は重要な意義を持つ. しかし, 抗体価が低いか, 非特異反応が強くて, 抗体検査だけでは判定が困難な場合があり, この場合, PCR法によるHTLV-1プロウイルスの証明が必要となる.
HTLV-1はenvと3’long terminal repeat(LTR)の間にpXと名付けられた特異な領域が含まれる. pX領域にはtax, rex, p21, p30, HBZなどさまざまな調節遺伝子がコードされており, 感染細胞の増殖機構や腫瘍化の重要な担い手と考えられている. PCR法では, 通常プライマーをpX領域に設定することで, HTLV-1プロウイルスDNAを高感度に検出する.
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異常値を示す病態・疾患
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関連検査項目
参考文献
臨床検査法提要 改訂第33版 (金原出版): 1100-1101
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