患者の検査前準備
・当日の朝は絶食です. 少量の飲水は可能です.
・高血圧や心臓の薬はいつもどおり服用してください.
・糖尿病の薬は内服・注射しないでください(絶食により低血糖を起こすことがあるため).
・その他, 薬について不明な点は主治医の指示に従ってください.
・検査当日は禁煙です.
検体採取のタイミング
除菌判定は, 除菌終了後4週以降に提出ください.
ラベル見本(検体)(単項目オーダー時)
| キョウダイ タロウ |
| 注 |
80 |
入 |
N60 |
|
|
|
|
 |
| B_UBT. |
|
| 09.03 |
@ |
| 呼気 |
| 中検外 |
**-****-52002* |
| UB. |
0ml |
**-***-*** |
| キョウダイ タロウ |
| 注 |
80 |
入 |
N60 |
|
|
|
|
 |
| B_UBT. |
|
| 09.03 |
@ |
| 呼気 |
| 中検外 |
**-****-52004* |
| UB, |
0ml |
**-***-*** |
ラベル見本(微生物)(単項目オーダー時)
採取容器・検査材料
採取容器について
尿素服用前および服用後20分の呼気を呼気採取バッグに採取してペアにして提出ください.
検体採取について
呼気採取方法のポイント
・呼気採取バッグを口にあて, (鼻から)息を吸って, 5~10秒程度息を止めてください.
・その後, 呼気採取バッグにゆっくりと息を入れてください.
・息止め苦しい場合は, 2~3回に分けて入れてもかまいません.
採取後検体の取扱い
検体搬送について
採取検体の保存条件
受入不可基準
検査に要する時間(生理検査)
30分程度
再検査・追加検査の対応可能日数
検体採取に関する注意事項・検査の実施に関する注意事項
臨床的意義
ヘリコバクター・ピロリ(
Helicobacter pylori:
H.pylori)は, 1982年にオーストリアのWarrenとMarshallによって分離され, その後消化性潰瘍との関連が証明された比較的新しい細菌である. ピロリ菌感染によってもたらされる萎縮性胃炎は胃癌の発生母地であることが明らかになり, 1994年のWHOの下部組織である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer: IARC)により胃癌の第一級の発癌因子であることが認定され, 2014年にはIARCが胃癌予防としてピロリ菌除菌による対策を推奨した.
わが国では, 「
H. pylori感染の診断と治療ガイドライン」(日本ヘリコバクター学会), 「EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン」(胃潰瘍ガイドラインの適用と評価に関する研究班), 「消化性潰瘍診療ガイドライン」(日本消化器病学会)が発表されており, ピロリ菌除菌治療についても記載されている.
除菌治療の保険適用疾患としては, 胃潰瘍・十二指腸潰瘍のみであったが, 2010年より胃MALTリンパ腫, 免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(immune thrombocytopenic purpula: ITP), 早期胃癌に対する内視鏡的治療後が追加となり, さらに2013年にはヘリコバクター・ピロリ感染胃炎も適用となった.
胃では極めて高い酸性度が維持されているため, 多くの細菌が殺菌される一方で,
H.pyloriが産生したウレアーゼにより食物中の尿素や胃壁から分泌された尿素が分解されて生じるアンモニアが胃酸を中和し,
H.pyloryの菌体が酸から保護される.
尿素呼気試験(urea breath test: UBT)は,
H.pyloriが産生するウレアーゼ活性を利用した体外検査法である. 非放射性同位元素である
13Cで標識した尿素を内服し, 胃内に
H.pyloriが存在する場合には, そのウレアーゼ活性によって
13C標識尿素が, 標識二酸化炭素(
13CO
2)とアンモニアとに分解される. この
13CO
2が消化管から血中に入り, 呼気中に排泄されるので, 呼気中の二酸化炭素に含まれる
13Cの増加率(Δ
13C値)を測定することによって
H.pyloriの存在を証明するものである.
本検査は, 非侵襲的で簡便であり, 感度・特異度ともに高い成績が報告されている. 除菌判定にも優れており, UBT陰性の場合は除菌成功の信頼性が高いとされている.
UBTに用いる
13C-尿素製剤には, ユービット®錠とピロニック®錠とがあるが, 多くの施設(約98%)でユービット®錠が使用されている. ユービット®錠はフィルムコーティングされているため口腔内のウレアーゼ産生菌の影響を受けにくく, より精度の高い診断が可能となる.
異常値を示す病態・疾患
【高値】
ヘリコバクター・ピロリ感染症
関連検査項目
ヘリコバクター・ピロリ抗体
参考文献 (緑ブラウザからPubMedにはアクセスできません)
白井睦訓. ヘリコバクター・ピロリ菌の胃酸耐性としてのウレアーゼ・オペロンの転写調節および降誕の胃定着機序. 山口医学. 2001, vol. 50, no. 2, p.593-601.

堤康志郎ほか. ヘリコバクター・ピロリ除菌判定法Update 尿素呼気試験. Helicobacter Research. 2021, vol. 25, no. 2, p.198-200.

Kato, Mototsugu et al.. 13C-Urea breath test, using a new compact nondispersive isotope-selective infrared spectrophotometer: comparison with mass spectrometry. Journal of gastroenterology. 2004, vol. 39, no. 7, p.629-634.

Ohara, Shuichi et al.. Comparison between a new 13C-urea breath test, using a film-coated tablet, and the conventional 13C-urea breath test for the detection of Helicobacter pylori infection. Journal of gastroenterology. 2004, vol. 39, no. 7, p.621-628.
