臨床的意義
抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は, 原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC)の診断に用いられる疾患特異性の高い自己抗体である. AMAの対応抗原はその局在や酵素処理に対する反応性などからM1~M9までの亜型に分類されており, PBCに特異的な抗体は抗M2, M4, M8, M9抗体である.
厚生省難治性の肝炎調査研究班による診断基準では, 肝生検による組織学的な裏付けがなくとも, 臨床的にPBCが考えられ, AMAまたは抗PDH抗体(抗M2抗体)が陽性であればPBCと診断してもよいとしている. ただし, 本検査はこれら抗ミトコンドリア抗体を総括してみており, PBC以外の疾患(梅毒, 一部の膠原病, 薬剤性肝障害など)で陽性となる場合がある.
異常値を示す病態・疾患
梅毒, 膠原病, 薬剤惹起性肝炎, 原発性肝汁性肝硬変(PBC), 慢性活動性肝炎
関連検査項目
抗LKM-1抗体(抗肝/腎マイクロゾーム抗体)
抗核抗体(ANA)[CLEIA]
抗ミトコンドリアM2抗体
参考文献
エスアールエル 検査要項
山内進. 肝疾患にみられる自己抗体とその検査法. 臨床免疫. 1975, vol. 7, no. 7, p.825-830.

伊藤忠一ほか. 抗ミトコンドリア抗体. 日本臨床. 1990, vol. 48, no. 増刊号1, p.611-614.