臨床的意義
抗ミトコンドリア抗体は, 原発性胆汁性肝硬変に特異的に証明される自己抗体で従来から蛍光抗体法(FA)で検査が行われてきた. しかし, AMA-FAはPBCだけでなく, 慢性活動性肝炎等の自己免疫性肝炎や梅毒等にも検出されており, 抗リボゾーム抗体や抗LKM抗体等の存在により判定不可能となることがある. 近年, この抗ミトコンドリア抗体にM1~M9の亜分画が報告され, M2分画のPBC特異性が注目されている.
M2対応抗原はミトコンドリア内膜に存在し, イムノブロット法にて70kDa, 50kDa, 47kDa, 40kDaの4つの蛋白が証明されている. この中で70kDaの蛋白はM2分画の大部分を占め, その本態はピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC:pyruvate dehydrogenase complex)のE2-Component(PDC-E2)であることがわかった. さらに, 2-acid dehydrogenase complexに属する酵素のsubunit(BCOADC-E2, OGDCE2)もPBCに特異的なM2抗体の対応抗原であることも報告されている. 本検査は患者血清中の抗ミトコンドリア抗体を測定するものであり, PBCの確定診断に有用である.
異常値を示す病態・疾患
上昇する疾患
原発性胆汁性肝硬変(PBC)
関連検査項目
抗ミトコンドリア抗体(AMA)
参考文献
エスアールエル 検査要項
丹野瑞木ほか. 新しい抗ミトコンドリア抗体検出試薬ステイシアMEBLuxテストミトコンドリアM2の基礎性能および臨床的有用性の検討. 医学と薬学. 2012, vol. 67, no. 3, p.485-495.

橋本悦子ほか. 原発性胆汁性肝硬変におけるリコンビナント抗原を用いたELISA法による抗ミトコンドリアM2測定の診断的意義. 医学と薬学. 2001, vol. 46, no. 6, p.1031-1037.
