臨床的意義
免疫複合体(IC)は, 抗原・抗体・補体の複合体である.
血中で生じた免疫複合体は, 通常, 貪食組胞に処理されるが, 免疫複合体の多量の発生, 抗体の産生不全や貪食組胞の機能低下などの病的な状態では, 腎糸球体や血管壁に沈着して補体の活性化や組織障害が起こる.
免疫複合体の検出は, このような病的な状況が存在するかどうかを判断するのに有用である. 現在, 血中の免疫複合体(循環性免疫複合体(CIC))を補促する方法には, 補体第一成分(C1)成分の亜成分の一つで, CIC結合性をもつC1qを利用した方法, 補体を活性化するCICの最終産物であるC3d結合免疫複合体を補促する抗C3dモノクローナル抗体を用いた方法, リウマチ因子が免疫複合体を形成したIgGに対して結合能力をもっている事から, 骨髄腫由来のモノクローナルリウマチ因子(mRF)を利用した方法などがある.
異常値を示す病態・疾患
上昇する疾患
細菌性心内膜炎, シェーグレン症候群, 天疱瘡, 潰瘍性大腸炎, 多発性動脈炎(PN), 伝染性単核症, 全身性エリテマトーデス(SLE), 糸球体腎炎, 強皮症(PSS), 急性ウイルス性肝炎, 悪性腫瘍(固形癌, リンパ系腫瘍), クローン病, IgA腎症, 関節リウマチ(RA), 混合性結合組織病(MCTD)
関連検査項目
抗核抗体(ANA)[CLEIA]
CH50(血清補体価)
抗DNA抗体
参考文献
エスアールエル 検査要項
中村敏男ほか. Ciq Solid-phase Enzyme Immunoassayによる流血中Immune Complexの測定. 臨床免疫. 1982, vol. 14, no. S5, p.92-100.

広瀬俊一. 免疫複合体測定の意義. リウマチ科. 1991, vol. 5, no. 4, p.301-304.
