臨床的意義
抗リン脂質抗体(anti phospholipid antibody:APL)は, 反復性の流産・子宮内胎児死亡, 全身の動・静脈血栓症(特に下肢深部静脈血栓症, 肺梗塞, 脳梗塞など), 血小板減少症などと密接に関連しており, これらの症例を抗リン脂質抗体症候群(anti phospholipid syndrome:APS)と呼ぶ. ただしこのAPLが認識する抗原はリン脂質そのものではなく, リン脂質と結合した血漿蛋白であることが判明しており, 抗カルジオリピン抗体(ACL)はカルジオリピンと結合したβ2-glycoproteinⅠ(:β2GPI)などと反応する抗体である.
本検査はこのカルジオリピンとβ2GPIとの複合体に対するIgG抗体を測定しており, APSの診断や治療効果, 再発の予知などに有用である.
異常値を示す病態・疾患
上昇する疾患
SLE, 抗リン脂質抗体症候群, 習慣性流産, 動静脈血栓症, 不育症
関連検査項目
抗カルジオリピン抗体-IgG
梅毒脂質抗体定量
直接Coombs試験(直接クームス試験)
抗DNA抗体
参考文献
エスアールエル 検査要項
野島順三ほか. 抗カルジオリピン・β2-GPI抗体測定キット"抗CL・β2-GPI抗体「ヤマサ」EIA"の基礎検討と臨床応用. 医学と薬学. 1994, vol. 32, no. 6, p.1315-1320.

小池隆夫ほか. 抗カルジオリピンキット「ヤマサ」EIAの基礎的・臨床的検討. 医学と薬学. 1991, vol. 26, no. 3, p.535-543.
