臨床的意義
抗Sm抗体は, Smithという名前のSLE(全身性エリテマトーデス)患者の血清中に認められた抗体で, 非ヒストン核蛋白抗原に対する抗核抗体の一つであり, この患者の頭文字が抗体名の由来となっている.
抗ENA(Extractable Nuclear Antigen)抗体には大別して抗RNP抗体(RNase感受性抗体)と抗Sm抗体(RNase抵抗性抗体)があり, 通常は抗Sm抗体が陽性であればRNP抗体も陽性になることが多い.
本抗体はSLEに非常に関連が強く, SLEやSLE重複症候群に高い陽性率を示す. 抗RNP抗体が陽性で本抗体が陰性の場合は, 混合性結合組織病(MCTD)やOverlap症候群, シェーグレン症候群の可能性が高く, 両抗体陽性の場合はSLEであることが多い. また, 活動期には高値を示し, 寛解期には低下するといわれる.
本抗体の測定は, 主に二重免疫拡散法とCLEIA法により検査されている. ステロイド大量投与後や低蛋白血症などの場合には, 免疫拡散法では低感度ゆえに沈降線が消失し検出されない場合がある.
陽性を示す病態・疾患
SLE(全身性エリテマトーデス)
関連検査項目
抗核抗体(ANA)[CLEIA]
抗DNA抗体
抗dsDNA抗体-IgG
抗RNP抗体[ELISA]
抗セントロメア抗体[CLEIA]
リウマトイド因子(リウマトイド)
リウマトイド因子-IgG
CH50(血清補体価)
抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体
参考文献
LSIメディエンス 検査要項