臨床的意義
抗SS-A, SS-B抗体のSSはシェーグレン症候群の名称に由来する.
この両抗体は免疫学的には各々独立したものであるが, 同一患者に併存してみられる場合が多い.
シェーグレン症候群は, 唾液腺や涙腺などの外分泌腺の炎症や機能不全, 機能低下で始まる自己免疫疾患で, 眼球乾燥, 口内乾燥で発症し, 全身の外分泌機能の低下が起こり, 尿細管アシドーシスを併発する.
一般に抗SS-A抗体の方がSS-B抗体より高頻度に検出され, 抗体価も高い場合が多い. また, SS-B抗体は単独で陽性になることは少なく, SS-A抗体を併存する場合が多い. 抗SS-A抗体は自己抗体のなかで最も多く検出される抗体の一つで, シェーグレン症候群以外でも関節リウマチやSLEなどのさまざまな自己免疫疾患で陽性を示すことがある. 一方, 抗SS-B抗体はシェーグレン症候群に特異的である.
また, 新生児ループスを発症した児を出産した母親の血清中には抗SS-A抗体が高率に検出されるといわれている.
陽性を示す病態・疾患
シェーグレン症候群, SLE(全身性エリテマトーデス), 関節リウマチ, 多発性筋炎, 皮膚筋炎, 全身性進行性強皮症(PSS) など
関連検査項目
抗核抗体(ANA)[CLEIA]
抗DNA抗体
抗dsDNA抗体-IgG
抗Sm抗体[CLEIA]
抗RNP抗体[ELISA]
抗Scl-70抗体(抗トポイソメラーゼ1抗体)[CLEIA]
抗セントロメア抗体[CLEIA]
リウマトイド因子(リウマトイド)
リウマトイド因子-IgG
CH50(血清補体価)
参考文献
LSIメディエンス 検査要項